V O I C E O F S E T T L E Rセンパイ移住者

岩澤素子さん
Uターン
岩澤素子さん
  • 移住年2011年
  • 仕事会社員

ネガティブだった高松へのUターンが、ポジティブなものに転換した理由

「すごく消極的な理由なんですけど、大丈夫ですか」

高松へのUターンの背景について尋ねると、不安そうに口を開く。高松の民間企業で働く岩澤素子さんは、高校卒業まで高松で過ごし、京都の大学に進学した後、Uターンで高松に戻ってきた。今では「Uターンして良かった」と語るが、以前は高松へのUターンをポジティブに捉えられなかったという。Uターンする人の内、その全ての過程が順風満帆に進む人は、むしろ少数派なのではないだろうか。様々な局面で、様々なネガティブな“壁”が現れるUターン。岩澤さんが、Uターンをネガティブなものからポジティブなものに転換できた背景には何があったのだろう。


消極的なUターンの理由、働くまでの紆余曲折

「大学4年の就職活動の際、就職氷河期だったにも関わらず、あまり熱心に取り組まなかったんです。内定をもらえないまま、大学卒業を迎え、『お金もかかるし、高松に帰ろうか』というとても消極的な理由で高松に帰りました。県外に進学した時点で、両親からも高松に帰ってくることはないだろうという雰囲気で送り出されましたし、自分もおぼろげにそう考えていたのですが。
高松に帰った後、『帰りたくて帰ってきたわけじゃないのに』と気持ちが滅入ってきてしまって、正直、一時ニートだった時期もありました。周りの友達が新社会人として頑張っている中、少しずつ、『働かないと』という焦りの気持ちが芽生えてきて、改めて就職活動を始めました。その時は香川県外に出ることはあまり考えず、県内で就職を目指しました。特に意識していませんでしたが、今となって考えると、負けず嫌いな性格なので、高松に帰ってきたという選択を“失敗”として捉えたくない気持ちがあったと思います。帰ってきたという選択が失敗だからもう1度県外で挑戦するのではなく、帰ってきた選択自体を正解にしたいという想いだったのかなと。
ちなみに、就職活動中は正直、『高松には全然仕事が無い』と思っていました。今となっては、高松にいろいろな仕事があることは知っているのですが」

高松での生活をポジティブに捉える、きっかけ

社会人としての高松での生活が始まった後も、高松へUターンしたことがすぐにポジティブに感じられたわけではないという。Uターンへのポジティブな感覚は、高松でいろいろな人や活動に関わる中で、少しずつ育まれてきたと語る。

「同級生から2年遅れて入社し、今6年目になります。入社直後はブランクもあったので、『仕事をバリバリやる』という気持ちを抱いていましたが、次第に会社の仕事だけでは物足りなく感じるようになりました。
そこで、会社の外でも活動するようになり、まず趣味である合唱団に加入し、次に瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーターの『こえび隊』、高松市の地域づくりチャレンジ塾等に参加しました。瀬戸内国際芸術祭の会期だった2016年は土日のどちらかはこえび隊の活動に参加していました。大学時代に地域社会と農業について学んでいたので、“地域” をキーワードに行動範囲を広げていったんだと思います」

地域と関わりを持つことが、おもしろい流れを生み出す

「高松では、自分が興味のある活動に参加したり、地域のキーマンとなる人に会ったりすると、そこからおもしろい流れが生まれることがとても多いと感じています。私自身、社会人になって性格が変わったんです。昔は気を遣わなくて良い人とだけいっしょにいましたが、今は新しい人に会うことが好きになりました。これは高松で出会ってきた“人”に恵まれていたからだと思います。昔のように受け身のままだったら、Uターンしてもうまくいかなかったかもしれません。おもしろい環境や、おもしろい活動をする人は、地方には少ないと思われがちですが、高松には想像以上に多いという印象です。高松に帰ってきてすぐはアンテナが低かったのか、あまりおもしろいことがないように感じていましたが、ひとつきっかけをつかむと、数珠つなぎでつながりが生まれました。高松では、まずひとつのきっかけをつかみにいくことが、とても大事なのではないでしょうか。コミュニティが良い意味で近くて狭いので、ひとつの入口から入ると、その先ですぐいろいろな活動や人とつながることができます。まずは、自分が興味関心を持つ分野で『おもしろい』と思える人に付いていくことですね。
またコミュニティが近くて狭い分、誰に対しても誠実でいたいなと思っています。良い話も悪い話もすぐに広がってしまうので。まちが狭いからこそ、自然と背筋を正すことができるように感じています」


“普通の人”でも、地域でおもしろい生き方ができる

「大学で地域について学んでいるときや、Uターンをする前は、スーパーマンのような人しか、地方で自分の価値をつくり、生計を立てていくことは無理だと思っていました。しかし今では、特にすごいことをしなくても、サラリーマンでも、私のような“普通の人”でも、地域で楽しく暮らすことはできると感じています。東京や海外で働く友達にも、高松でも夢を諦めることなく、楽しく過ごせることを伝えられると良いですね」

少しの勇気を持って、地域に一歩踏み込み、「関わりを持つこと」。Uターンで現れる“壁”を乗り越えるひとつのヒントが、岩澤さんの言葉から垣間見えた。



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