V O I C E O F S E T T L E Rセンパイ移住者

鎌田佳子さん
Uターン
鎌田佳子さん
  • 出身地香川県
  • 現住所高松市
  • 移住年2006年
  • 仕事ビジネス香川編集室

どんな仕事を選んだとしても、すべてつながっている

「将来はエッセイストかコラムニストになるのかな」

学校の先生に言われた言葉が、妙に記憶に残っていることがある。この言葉をかけられたことをよく覚えていると言う鎌田佳子さんは今、経営者へのインタビューを中心に香川の経済情報を伝える「ビジネス香川」のライターとして働いている。紆余曲折のキャリアを経て、文章を書く仕事が現実のものとなった。高松の経済や企業について深く知る鎌田さんに、ご自身のキャリアを振り返ってもらいながら、高松での働き方の深層を聞いた。



高松に愛着があったわけでは無かった


小さい頃から読書が好きで作文が得意な子どもだった。鎌田さんは高松で生まれ、高校卒業まで過ごしたものの、何度か引越しを経験したこともあり、どことなく高松に根づいていない感じを持っていたと言う。

「高校卒業時、『もう帰ってくることはないかもな』という気持ちで、好きだった文学と海外の文化等が両方学べる学部があった愛媛の大学に進学しました。ただ、大学3年のときに、父に病気が見つかったんです。希望していた海外留学を諦め、『高松で、自分ができることとやりたいことが両立できるものは何か』を考え、浮かんだのが教員でした」

大学卒業後に高松へ戻り、県立高校で講師を務めながら教員採用試験合格を目指し、3年間過ごした。



教員か、国際協力か、ライターか


そんな中、父の死を機に、改めて自身のキャリアについて考える時間を持つ。教員としてのキャリアを一旦脇に置き、元々憧れていた海外に触れるため、世界一周の船旅に出ることを決め、4ヵ月弱の時間をかけて世界20ヵ国程を旅した。

「今まで出会ったことの無い外国の人や文化にたくさん触れました。20代半ばでも成長できることを実感し、若い頃の学びの時間がいかに大切か痛感しましたね。不登校を経験した人が船内スタッフとして活躍している姿も見て、教育は学校がすべてではないとも感じるようになりました。文章を書くことは変わらず好きで、船旅の中で船内新聞を制作していました。高松に帰ったら教員に戻ろうと思っていましたが、国際協力と文章を書く仕事が選択肢として浮かび、結果的に文章を書く編集プロダクションに入社しました。また、外国に行って初めて、家族がいて友達もいる高松こそが自分のホームタウンだと感じるようになりました」



ビジネス香川の文章は、働く人への応援歌


編集プロダクションでは、香川県内の広報誌や企業の記念誌の制作に携わる。文章の書き方等をイチから学びながら仕事をしたと言う。業務の中で、ビジネス香川の制作の一部をサポートし始め、数年経験を積み重ねる。新しいチャレンジを視野に入れていたところで、ビジネス香川の制作を手がける会社に転職して今に至る。

「今の仕事は、県内の企業の社長さんへインタビューさせてもらい、それを記事にまとめて発信することです。文章を読んだり、書いたりすることが好きなのは変わっていませんが、それと同じぐらい、人の話を聞くことも好きだと気づきました。みなさん、じっくり話を聞くと必ず『いいな』と思う光る瞬間があるんですよね。ビジネス香川は、『働く人への応援歌』だと思っています。自分を鼓舞する意味合いもありますし、働く誰かの励みになっていたらうれしいですね」


どんな仕事を選んだとしても、すべてつながっている

教員を経て、今はライターとして働く鎌田さんは、それぞれのキャリアの違いについてどのように感じているのだろうか。

「自分の経験と、様々な経営者の話と、両面から考えて、“どんな仕事もつながっている”と感じています。今私は文章を書いていますが、それは広い意味で言うと人に何かを伝える教育でもあり、国際協力でもあると思います。また、経営者の方にお話を伺っても、みなさん『人を大切にすること』と『あきらめないこと』をとても大事にされています。どのような仕事をするにしても、見える景色が違うだけで、実は大切にしないといけないことはあまり変わらないのかなと思っています」


高松と東京を二者択一にしない新しい選択肢

鎌田さんは高松で働く中、住む場所としての高松の魅力を強く感じていると言う。その一方で、高松の足りないところを補う働き方にも挑戦している。

「実は、仕事を続けている中でスキルアップしている実感が乏しく、東京で働くことでイチから鍛え直したいという想いを強めたこともあったんです。そこで上司とも相談した結果、高松で働きながら東京まで文章講座に通いました。高松を拠点にしながら時々東京に通って自分のスキルや情報をアップデートする動きができることは、自分にとって大きな気づきでした。東京に通ってみて、住むところとしての高松の魅力を改めて強く感じました。高松か東京か、選択肢は二者択一で考えがちですが、今の働き方ではどちらか一方“だけ”を選ぶ必要は無いのかもしれません」

働き方が多様化する中、高松と東京、それぞれで補い合い、良いとこ取りをする働き方はこれからもっと増えていくのだろう。暮らしを大切にして高松に住んで仕事をするか、仕事の強度を大切にして東京に住んで仕事をするか、選択肢はその二者択一だけではなくなっている。鎌田さんが切り取る高松の企業の最前線に注目すると、自分らしい高松での働き方を見つけられるのかもしれない。


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