- Iターン
若林友美さん -
- 出身地徳島県
- 現住所高松市
- 移住年2011年
- 仕事主婦・移住支援団体たかまつ『IJU』代表
高松で移住者と地域の人たちとの“橋渡し役”になる場所をつくる
かわいい女の子が机に向かう。真剣な眼差しで絵を描く子どもの隣で、笑顔でインタビューに答えるのが、母親の若林友美さんだ。若林さんは、主婦の傍ら「移住支援団体たかまつ『IJU』」の代表として、移住者や転勤者と地域の方々とのつながりを育む活動を行っている。子育てをする中、暮らしに必要な情報やコミュニティが少ないと感じた若林さんは、「無いからできないと言うのではなく、自分でつくれば良いのでは」と考え、小さなアクションをひとつずつ形にしている。
自身の経験を生かし、同じ悩みを持つ母親に情報を届ける
結婚を機にご主人の仕事の関係で地元の徳島から高松に移住した若林さんは、翌年に長女を出産する。しかし、子育ては決して順風満帆ではなかったと語る。
「育児に追われ、周りに頼れる人もおらず、また、地域とのつながりも少なく、人と会話もあまりない状態でした。主人が仕事の関係で半年や1年の単身赴任になることもあり、人と話せないことが大きなストレスでしたね。その中で、初めて子どもと直島に行く機会があり、その際に子連れでの外出の大変さ等、いろいろな気づきがありました。そんな時、『はじめまして香川の会』という転勤者と地元の方が集う場に声をかけていただき、定期的に足を運ぶようになりました」
その後、次女を出産したり、ご主人の仕事の関係で1年間高知に引っ越したり、目まぐるしい日々を送る中、自分と同じような悩みを持つ母親に情報を届けたいという想いが強まり、子連れで行ける場所やイベント、その他生活情報をブログに書き始めた。
「子連れだと、授乳室やオムツ替えのスペースが設置されているかどうかによって、外出を断念することがあります。子連れで外出するには、そのための『環境があるかどうか』が重要だと気づき、まずは子連れで行ける場所やイベントや施設情報をブログに書き始めました。また、自分のように何も知らずに高松に来た人のために、生活情報も書くようにしました」
読者からコメントが届くこともあり、自分の情報が役に立っていると実感ができたと語る。
本当にサポートを必要とする人のため、移住支援団体たかまつ「IJU」設立
子どもが成長して幼稚園に通える年齢になったり、ご主人の単身赴任が無くなったり、少しずつ生活が落ち着き始める。若林さんは日々の生活や子育てを通じて感じていた悩みを解消するため、また同じような想いを持つ人をサポートするため、少しずつ行動を増やしていく。
「市役所に行くといろいろ情報があるのに、特に移住者や転勤者、子どもがいない世代は、コミュニティも希薄で、本当にほしい人に情報が届いていないと感じました。また、ブログでは一定の読者にしか情報が届けられていなかったので、自分の周りで本当に困っている人たちに、市役所にある必要な資料や冊子を直接配ろうと考え、定期的にランチ会を企画するようになりました」
その活動が少しずつ大きくなり、移住支援団体たかまつ「IJU」の設立に至る。
「正直、一般の主婦ですし、『周りにどう言われるだろうか…』という不安はありました。ただ、『一歩踏み込んでやってみよう』と思い、腹を括って行動することに決めました」
移住者と地域、世代を超えた人たちの“橋渡し役”になる居場所づくり
移住支援団体たかまつ「IJU」では、移住や転勤で高松に来た方のための交流会や、高松を深く知るためのまち歩き、高松の生活に関する情報発信等を定期的に行っている。若林さんの活動の動機は、地縁が無い中で子育てやコミュニティ探しに苦労した自分と似た境遇の人たちの役に立ちたいという純粋な想いだと言う。
「移住者や転勤者や未就学の子を持つ母親は、どうしても地域とのつながりが少なく、情報も充分に届いておらず、移住後のサポートが、とても大切だと思っています。だからこそ、移住者や転勤者の居場所づくりやコミュニティづくりのサポートができればと考えていますね。移住希望者へのサポートと比べると、移住者や転勤者への暮らし始めた後のサポートはまだまだ良くしていける余地があると思います。移住と転勤の線引きなく、サポートができると良いですね。将来的には、地元の高齢者の方々も巻き込みながら、世代に関係なく人が集え、移住者と地域の人たちとの“橋渡し役”になるような居場所づくりができれば理想です。徳島出身だからではないですが、それこそ阿波踊りの『連』のような、多世代でひとつにまとまり、好きなことでつながれるようなコミュニティを高松につくっていければと思います」